今日のみ言葉【No.3516】(2024年12月 3日)「父と二人の息子の話(弟編)(2)」
ところが、弟が父親に言った、『父よ、あなたの財産のうちでわたしがいただく分をください』。そこで、父はその身代をふたりに分けてやった。
(ルカ15:12)
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日本では相続税の負担を軽減するために、「生前贈与」という対策が取られることがあります。
自分が生きている間に、財産を子や孫や関係者に渡す方法です。
そうすると、毎年一定額まで贈与税がかかりませんし、もらった方は今それを有効活用できます。
弟息子はその「生前贈与」を要求しましたが、これは現代日本における目的とは違い、父親の財産を即刻処分して自分のために使いたいという、彼の個人的欲求に基づくことでした。
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まず、ユダヤの遺産相続について知らねばなりません。
遺産相続は、父親が高齢になって、財産の管理ができなくなった時点で行います。
現在の日本では基本的に等分割ですが、ユダヤの律法では兄は弟の2倍相続することになっていました。
長子は家族を率いる責任を負うので、より多くの財産を相続する権利があるという考え方です。
ルカ15章では二人兄弟ですので、父親の財産の内、兄は3分の2を、弟は3分の1をもらいます。
さて、弟息子は、父親がまだ元気なうちに遺産分けを願いました。
「父よ、あなたの財産のうちでわたしがいただく分をください」
(ルカ15:12)
これは当時の常識からは相当外れている要求です。
なぜなら、まだ元気な父親を耄碌(もうろく)したとして扱っているか、死んだものとしているのと同じだからです。
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一方、律法では、子供に対する父親の権威は相当大きいものがあります。
たとえば、このようなことが申命記の律法に書いてあります。
「もし、わがままで、手に負えない子があって、父の言葉にも、母の言葉にも従わず、父母がこれを懲らしてもきかない時は、その父母はこれを捕えて、…、町の人は皆、彼を石で撃ち殺し、あなたがたのうちから悪を除き去らなければならない」
(申命記21:18-21)
これは実際に行った事実があるということではなく、「抑止」としての律法です。
さて、このような律法があり、社会的に「子は父に従うものだ」という同意があるにもかかわらず、父は息子たちに財産を譲ってしまいました。
「そこで、父はその身代をふたりに分けてやった」
(ルカ15:12)
現在の日本なら、
「やさしく、理解ある父親」
というイメージで見られるかもしれませんが、この当時のユダヤでは、
「父親の権威を失墜させ、理解しがたい決断をした弱い父親」
と思われても仕方ないでしょう。
さて、この家族関係はこの先どうなっていくのでしょうか?
以下、次回に続きます。
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人間のわがままが通ることが、この世ではたくさんあります。
しかし、根底に神の愛が流れて事が進んでいるのだと信じ、信仰の歩みを進めて参りましょう。
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