今日のみ言葉【No.3088】(2023年 5月26日)「善きサマリヤ人の話(6)」
この三人のうち、だれが強盗に襲われた人の隣り人になったと思うか」。
(ルカ10:36)
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神学校で卒業論文を書かねばならなかった時、こう指導されました。
「君たちはまだ自分のオリジナリティーを入れてはいけないよ」
いきがって自分独自の意見を書きたがる年代でしたので、驚きました。
続けて、
・大学4年の学士課程の卒論は、論理的に論文の構成ができていればOK。
・大学院の修士課程では、先人の業績を正しく理解していることを示すまでにとどめ、まだオリジナリティーは出さない。
・その上の博士課程の卒業論文になれば、論理的に書けて、今までの理論も正しく理解されているので、ここに至って初めてその人独自の意見(オリジナリティー)を出すことができ、それが正しいかどうか評価の対象となる。
と習いました。
誰が隣人かではなく、自らが誰かの隣人となろうとする生き方は、博士課程の生き方なのかもしれません。
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永遠の生命を受けるにはどうしたらよいか、という律法学者の質問に、イエス様は隣人愛の実行という答を出されました。
では、その隣人とは誰なのかという問いに対して、イエス様は善きサマリヤ人のたとえ話をなさいました。
このサマリヤ人の親切は完璧です。
傷の手当てをし、宿屋に連れて行って介抱しただけでなく、その人の宿賃まで払い、さらに、もっと費用がかかった場合でも自分が払うとまで約束しています。
律法学者は、
「律法違反をしないために、隣人なら関わるが、隣人でないなら関わる必要はない」
と考えていましたから、自らが積極的に隣人を見つけ、その人を愛するために犠牲を払う生き方など考えることさえできなかったでしょう。
人との関わりは必要最低限に済まし、効率的に永遠の命を得るための隣人愛を実行しようと考えていた律法学者に対して、イエス様はこの質問をします。
「この三人のうち、だれが強盗に襲われた人の隣り人になったと思うか」
(ルカ10:36)
当然、律法学者の答は、
「その人に慈悲深い行いをした人です」
(ルカ10:37)
となるしかありません。
そこでとどめの言葉です。
「あなたも行って同じようにしなさい」
(ルカ10:37)
将棋で言えば詰みです。
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「誰が隣り人か」ではなく、「誰を隣り人とするか」をイエス様は教えられたのです。
つまり、AさんとBさんがいて、どちらが私の隣り人だろうかと区別しようとするのではなく、あなたがAさんとBさんの隣り人になりなさい、ということなのです。
ただし、これは旧約時代の律法を行うことによって義とされようとする生き方への究極的答です。
イエス・キリスト以前ではこのような生き方をしなければ、永遠の生命を得るには至らなかったのです。
しかし、イエス様が示された神の基準としての隣人愛の実行には、人間として限界があります。
全ての人の隣人になって愛していこうとする生き方は理想ですが、実行不可能なのは少し考えてみればわかります。
つまり、この生き方では救われないのです。
新約時代に生きる私たちは、キリストの救いに与った後、その恵みへの感謝の応答として、
「どなたかの隣人とならせていただこう」
として隣人愛の実行をするのが正解です。
自分サイズの隣人愛こそ健全な生き方だと言えます。
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自分ならではの隣人愛の見つけ方に関して、以下の話をヒントとしてみて下さい。
私が教師として学校で試験問題を作る時、必ず「自作問題」というのを入れます。
生徒さんには、
「出された問題に解答するのが試験ですが、自作問題に関しては、自分で問題を作り、自分で解答して下さい」
と事前に説明しておきます。
自分ではもう答がわかっている問題なのですから、自作自演でインチキくさいと思われた方もおられるでしょう。
出題の狙いは、
「自らが問題を作り出し、その答を探し、自分なりの解答を出す」
という力を養うためです。
世の中に出れば、与えられた課題をこなすだけでも大変なことだとわかります。
平均的基準を満たした上で、さらに上を目指す生き方がこれなのです。
自分から課題を見つけ出し、無い時にはあえてそれを作り出して解答を出すという生き方はチャレンジですが、この意識を持った人には思いもよらない豊かな人生が約束されています。
永遠の命を得るには何をしたらよいのかと質問してきた律法学者は博士レベルの人ですから、イエス様はこのような生き方を勧めたと言えます。
私たちは自分レベルの問題を見いだし、そこに自分らしい解答を出していきましょう。
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隣人愛という自作問題に、あなたはどのような自分の答を書かれますか?
救いの恵みを土台として、あくまでも感謝の応答として人を愛する今日として参りましょう。
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