今日のみ言葉【No.2412】(2020年11月24日)「ピラトによる裁判(3)」
それで、ピラトは群衆を満足させようと思って、バラバをゆるしてやり、イエスをむち打ったのち、十字架につけるために引きわたした。
(マルコ15:15)
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生涯で714本のホームラン記録を持つベーブ・ルースの名前を聞いたことがあるでしょう。
ベーブとはBabe(赤ちゃん)で、彼が童顔だったことから来たニックネームです。
聖書に出てくるバラバという名前もニックネームで、本名は別にあります。
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バラバの本名はイエスです。
バラバというニックネーム付きでバラバ・イエスと呼ばれていたことがわかっています。
新共同訳聖書ではこの点をとらえて、より正確に訳しています。
「そのころ、バラバ・イエスという評判の囚人がいた。ピラトは、人々が集まって来たときに言った。『どちらを釈放してほしいのか。バラバ・イエスか。それともメシアといわれるイエスか。』」
(マタイ27:16-17)
ピラトの裁判では、バラバと呼ばれるイエスとキリストと呼ばれるイエスという二人のイエスが登場し、どちらを罪に定め、どちらを自由にするかが問われたのです。
ピラトの考えはこうだったはずです。
「キリストと呼ばれるナザレのイエスには王となろうとする野心も力も見当たらない。これはユダヤ人たちの妬みにあって訴えられているだけで無罪だ。しかしこの男をただ釈放してしまえば民衆の感情がおさまらないだろう。ならばどうだ、あの極悪人のバラバを出して、『どちらをゆるして欲しいか』と問えば、彼らとて殺人犯を街中に解き放つ選択はしないだろう。そうなればナザレのイエスへの冤罪は防げる。民衆も納得する。暴動は防げるので私の身も安泰だ」
そこで彼は
「おまえたちはユダヤ人の王をゆるしてもらいたいのか」
(マルコ15:9)
と群衆に同意を求めるような問いをしたのです。
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しかし事はピラトの計算通りには進みませんでした。
祭司長たちが民衆をあおり、バラバを選ぶように扇動したからです。
「しかし祭司長たちは、バラバの方をゆるしてもらうように、群衆を煽動した」
(マルコ15:11)
その内容はおそらくこうだったはずです。
「バラバは暴動を起こしたとは言え、それはローマの圧制から我々を解放するための戦いだったではないか。しかしキリストと呼ばれるイエスは我々のために何をした?あの男はローマの支配から我々を解放する気力もやる気も何もない。とすれば、あんな奴は十字架につけてしまえ。そして、釈放させるならバラバの方ではないか?!」
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この群衆は、ほんの数日前のイエス様のエルサレム入城で
「すると多くの人々は自分たちの上着を道に敷き、また他の人々は葉のついた枝を野原から切ってきて敷いた」
(マルコ11:8)
と大歓迎した人たちでした。
彼らは
「ホサナ、主の御名によってきたる者に、祝福あれ。今きたる、われらの父ダビデの国に、祝福あれ。いと高き所に、ホサナ」
(マルコ11:9-10)
と叫び、イエス様に自分たちを解放する政治的指導者となってもらいたい、いや、この人は間違いなくそうしてくれるメシアだという期待をかけていました。
ところが、祭司長たちは「それは裏切られたのだぞ」と吹き込んだのです。
最も期待していたことがかなわないのだと受け取った群衆は、その対象となったイエス様に対する怒りが湧いてきました。
可愛さ余って憎さ百倍。
過大な期待は過度の憎悪に変わります。
ついにそれは「十字架につけよ」という言葉となって発し、暴動に発展しかねない状況となりました。
もうどうしようもありません。
「それで、ピラトは群衆を満足させようと思って、バラバをゆるしてやり、イエスをむち打ったのち、十字架につけるために引きわたした」
(マルコ15:15)
という結果となっていくのです。
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しかし、神のご計画は不思議です。
暴動、殺人、強盗の大罪を犯したバラバはゆるされたのです。
つまり、イエス様が十字架にかかることによって、一人の大悪党がゆるされ、救われたということです。
このことは、はからずも、イエス・キリストが十字架にかかることによって罪人がゆるされるという十字架の福音のひな型となりました。
バラバの出来事の中に、救いの真理が隠されているのです。
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事態がどうしようもなく進んでいるように見えるときでも、その深いところで神のご計画は着実に進められていることを覚えましょう。
神の大きな視点から、今日の一日を見ることができますように…。
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