今日のみ言葉【No.2308】(2020年 6月30日)「世の終末の預言(4)」
そして、人々があなたがたを連れて行って引きわたすとき、何を言おうかと、前もって心配するな。その場合、自分に示されることを語るがよい。語る者はあなたがた自身ではなくて、聖霊である。
(マルコ13:11)
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土曜日の晩、牧師にとっては一番苦しい夜を迎えます。
明日の礼拝の説教がまだできていないからです。
とうとう最後に
「そうだ、『語る者はあなたがた自身ではなくて、聖霊である』とあるではないか」
と思い出し、我力が抜けて聖霊の導きで説教が出来上がるというのが私の毎回のパターンです。
確かに語る御方は聖霊であり、聖霊の導きでメッセージを語らせていただきます。
だからといって聖書の勉強も準備も何もせず、ただ神の導きを待っているだけというのは間違いです。
「何を言おうかと、前もって心配するな。その場合、自分に示されることを語るがよい」
というのは、
「人々があなたがたを連れて行って引きわたすとき」
という特別な状況の際に適用されることだからです。
決して人間の努力を怠ってはいけないのです。
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イエス様がこの言葉を語られたのは、終りの時代に弟子たちが世の権力者側から迫害されることをご存知だったからです。
新約聖書における使徒パウロの記録や、第二次世界大戦中の日本のクリスチャンたちの証しを聞くと、全くその通りのことが起こったことを私たちは知ります。
今日の聖句は説教者のための御言葉ではなく、法廷に出された際の御言葉です。
使徒行伝に記録されている多くの説教は、神の話を聞きたいと思って集まった聴衆向けに語られたものではありません。
弟子たちが迫害され、法廷に連れてこられ、強制的に裁判にかけられて有罪を宣告されそうな絶体絶命の場面でなされたのです。
ですから、信仰の弁明をしなければならない立場に立たされたら、その時は聖霊の導きが与えられるから心配するな、というのがイエス様の言った意味です。
歴史を見ると、そうやって思わぬ形であかしをさせられ、福音がすべての民に宣べ伝えられるという神のわざがなされた実例を見ます。
そして教会の諸先輩方は、信仰を否定されそうになった時に聖霊が語らせてくださったという証しを多く残してくださっています。
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田中信生先生のお父様である田中美男先生は、太平洋戦争中、特高警察に連れて行かれ、巧みな誘導尋問を受けました。
「天皇は神ではないな?キリスト教ではそう言っているのが正しいはずだな」
ここで「天皇は神ではない」と言えば、当時の国体に反するので、投獄され、死ぬかもしれません。
「天皇は神です」と言ってしまえば釈放されますが、信仰を否定したことになります。
絶体絶命のその時、先生の頭に大日本帝国憲法の条文が浮かびました。
「天皇ハ神聖ニシテ侵スベカラズ」
そこで、
「憲法に『天皇ハ神聖ニシテ侵スベカラズ』とありますから、私のような者が天皇についてどうこう言うことは出来ません」
と答え、後は何を言われても「天皇ハ神聖ニシテ侵スベカラズ」の憲法論で押し通しました。
最後に、「もういい」と田中美男先生は解放されました。
振り返ると、憲法の条文で覚えていたのはその個所だけだったそうです。
神は私たちが持っているあらゆるものを用いて下さり、その時のために役立ててくださるのです。
ここに人間が努力することの意味があります。
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「終わりの時」の今、私たちも同じように信仰の弁明をしなければならない時が来るでしょう。
その時は聖霊が導いて、語るべき言葉を与えてくださるのですから、心配せず、おまかせしましょう。
そのことを心に覚え、今日なすべき努力を積み重ねて参りましょう。
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