今日のみ言葉【No.2269】(2020年 5月15日)「最大のいましめ(9)」

イエスは、彼が適切な答をしたのを見て言われた、「あなたは神の国から遠くない」。それから後は、イエスにあえて問う者はなかった。
(マルコ12:34)

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「最大のいましめ」シリーズは、さすがに最大なだけあって9回目となりましたが、今日で最後です。

皆様が読みやすいように、なるべく短く区切って、と心がけならが毎回お届けしていますが、今回は少し長くなります。

どうぞお許し下さい。

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イエス様に最も大切ないましめとは何かと尋ねた律法学者は、その答をもらいました。

彼は「先生、仰せのとおりです」とイエス様の言葉を理解し、正しいものとして認めました。

それに対するイエス様の答は

「あなたは神の国から遠くない」
(マルコ12:34)

です。

つまり、この律法学者のように、神を愛し隣り人を愛することが神の御心であると知った時点で、神の国に入るまであと一歩だというのです。

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ただし、「遠くない」であって、肉薄はしているけれど、まだ入ってはいません。

残念ながら、知識として持っているだけでは、「近い」「遠くない」だけなのです。

実際にその戒めのとおりに行動し、言葉だけでなく実行することによって神の国に入るのです。

しかし、その一歩は極めて「遠い」「近くない」ものであることは、実際にそうしようと試みた人だけがわかることです。

ここまでが旧約の限界です。

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新約の時代は、キリストによる罪のゆるしを信じる時代です。

従って、自力で頑張って神の国に入ろうとするのではなく、

「自分は何と神の国から遠い人間なのだろう」

と、自分の罪の姿を認め、その自分がゆるされていることを信じて歩むのです。

つまり、神の国から全く遠い自分の現実の姿を認め、受け入れ、しかしその私を愛してくださる神とキリストの罪のゆるしを信じ、生きるのです。

それはキリストの愛に励まされながら、最大のいましめと自分の生活を結びつけていく生活となります。

そのような人生を生きる時、その人はすでに神の国に入れられているのです。

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さて、牧師ほど

「自分は何と神の国から遠い人間なのだろう」

と人知れず悩む人種はいません。

神に近づこうとすればするほど自分の至らなさを見せつけられ、神の言葉は真理であると信じ、命をかけて生きようとすればするほど、疑いが生じるのです。

信じきれない弱さを抱えつつ、神の代理人として教会員の前で精一杯立っているのが牧師の本当の姿です。

S先生もそうでした。

伝道をしていこうとすればするほど、自分の内側に人を愛する愛の乏しさを覚えるのです。

「ああ、私は何と愛の足りない者なのだろう。冷たい心の人間だ。こんな人間が神の愛など伝えられるのだろうか」

そのように悩む日々を送っていたS先生は、

「自分こそ神の愛から最も遠い人間だ」

と心底から思い、

「こんな人間がどうして神の愛など伝えられよう。伝道などできようか」

と、絶望感に浸ったと言います。

ところが、次の瞬間、彼の心の中にこのような思いが湧いてきました。

「その神の愛から最も遠いこの私が、全人類の中で一番愛のない私が、神様から愛されている…」

そして、

「よし、これなら伝道できる!」

と、目が覚めたような思いになりました。

「自分は『罪人のかしら』で、その自分が愛されているなら、誰だって神様から愛される」

「最も愛から遠い私が愛されているのだから、あなたならもっと神様から愛されますよ」

と言えると確信したのです。

「『キリスト・イエスは、罪人を救うためにこの世にきて下さった』という言葉は、確実で、そのまま受けいれるに足るものである。わたしは、その罪人のかしらなのである」
(第1テモテ1:15)

S先生は、自分の愛の足りなさにむしろ感謝するようになり、神への愛と隣人愛の生涯を送られました。

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愛のない私、という罪人の姿からスタートしましょう。

その私がゆるされ、救われ、愛されて生かされています。

この神の恵みに浸り、神への応答を捧げる今日として参りましょう。

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