今日のみ言葉【No.2105】(2019年 9月26日)「キリスト教イロハ(17)『命(いのち)』」
わたしは命のパンである。
(ヨハネ6:48)
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「魚は水の存在に気づかない」というフランスの諺があるそうです。
水が自分の存在を支えているのに、あまりにも当たり前すぎて気づかないのです。
魚は人間に釣り上げられて初めて自分は水の中にいたのだと気づくのでしょう。
私たちも普段「命」があることを意識することはほとんどありません。
意識するのは「命」と反対の「死」を自分にも起こることとして感じた時です。
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「命」は「死」に対する言葉です。
命を意識するためには、死を意識に上らせなければなりません。
聖書では創世記のエデンの園の物語がそのことを語っています。
人間は命が与えられ、生きた者となりました。
「主なる神は土のちりで人を造り、命の息をその鼻に吹きいれられた。そこで人は生きた者となった」
(創世記2:7)
命の根源は神なのです。
神との関係が正しい限り、人間には命が与えられますが、神との関係が狂うと、そこに死が入ってきて、人は命を失います。
「あなたは園のどの木からでも心のままに取って食べてよろしい。しかし善悪を知る木からは取って食べてはならない。それを取って食べると、きっと死ぬであろう」
(創世記2:16-17)
現実の人間は神に反逆して生きるようになったと創世記第3章で述べられています。
罪のゆえに、人は神の言葉通り、死を背負って生きる存在となったのです。
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しかし、イエス・キリストの十字架による罪のあがないを信じる時、人の罪は帳消しにされ、赦されます。
神は人の中に罪を認めなくなるので、人間に永遠の生命が与えられます。
これが人間を神の側に取り戻したイエス・キリストの福音であり、それゆえにイエス・キリストはご自分を
「わたしは命のパンである」
(ヨハネ6:48)
と言われたのです。
イエス・キリストを自分の罪からの救い主であると信じ、永遠の命をいただいたと信ずる者は、もはや死を恐れる必要はなくなり、その縛りから解放されました。
そのような人は、
「どうせいつかは死ぬのだから、何をやっても無駄だ」
という虚無感から解放され、たとえ残された命の期間が短くなったとしても、死の向こう側に続く永遠の世界を見つめて、チャレンジを続ける人生を送るのです。
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Y兄は若い時に肺結核にかかり、療養生活中にキリストの救いを受け入れました。
幸い完治し、人の半分の肺活量ながら、仕事もでき、家庭を持ち、教会生活にも熱心に励まれました。
70歳を過ぎ、喘息の発作で救急車で運ばれることが続きましたが、Y兄は呼吸リハビリを続け、80歳を過ぎても定期的に礼拝に出席されました。
さて、奥様の方が先に天に召され、Y兄はその後老人介護施設に移り、一人の生活を送られました。
私は何度か訪問させていただいたのですが、
「きっと寂しい思いをなさっているだろうなあ」
と思って行くと、その部屋では常に静かに讃美歌のCDが流れ、聖書を読むことを怠らないY兄の姿がありました。
そして、私が帰る時、Y兄は祝福の祈りを捧げて下さいました。
私がそこで味わったのは、寂しさというより、動くことのない平安です。
Y兄は命のパンを食べ続け、霊の命で肉体の命が支えられているかのような感じでした。
そのような人には神様も地上の命の終わりの日を明確に語ってくださるようです。
ある日、どうしても今日来てくれという電話をいただき、早速お伺いすると、
「先生、いよいよ天国に行くことになりました」
とおっしゃるのです。
ご自分の葬儀一切の段取りをお話しされるので、とりあえず私はお聞きし、帰りましたが、Y兄はその言葉通り、翌日、天に召されました。
キリストによって新しい命が与えられ、地上にあって信仰の生涯を歩み続け、そのままの調子で天国への歩みを進められたような感じでした。
永遠の命を信じて生きるとは、このような生涯を送ることなのです。
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神様から与えられた命で今日も歩み続けましょう。
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