今日のみ言葉【No.2051】(2019年 7月 8日)「キリスト教イロハ(2)『愛』」

2019年7月8日

啓翁桜(おいしい山形HPより)

愛さない者は、神を知らない。神は愛である。
(第1ヨハネ4:8)

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山形県が全国一の出荷量を誇る啓翁桜(けいおうざくら)は、お正月前に出荷され、真冬に花を咲かせます。

花が散ったら終わりかというとそうではありません。

「その後に出てくる緑の葉を楽しむのですよ」と教えてくれた人がいます。

1月に薄桃色の花を、2月は真っ白な外の雪を見ながら室内の緑の葉を愛(め)でるのは冬の贅沢です。

しかし、葉も落ちたら枝しか残りません。後は捨てられるのみです。

それをも愛する愛は人間には無いでしょう。

ここに人間の愛の限界があり、神の愛との違いがあります。

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キリスト教の神は愛の神であると言われています。

その愛は新約聖書が書かれたギリシャ語で「アガペー」という語が使われています。

アガペーの愛の特徴は無条件ということです。

一方、人間の愛は条件付きです。

人はその対象物に価値があるから愛せるのであって、価値を見いだせなくなれば愛しません。

先ほどの啓翁桜を例に取ると、花の美しさや緑の葉の生き生きした姿なら愛せますが、枯れた枝には価値も効用も見い出せませんから捨てるのです。

しかし神の愛、アガペーの愛では、相手に価値がなくてもその愛は変わること無く、たとえ相手が自分を傷つける者でも愛するのです。

神の愛が無条件で一方通行の愛だというのはこういうことです。

人間の良し悪し、言うことを聞くか聞かないか、神を信じるか信じないか、それらのこととは一切関係なく、神は愛してくださるのです。

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この神の愛はキリストの十字架の上で表されました。

神は罪を知らぬキリストに全人類の罪を負わせ、キリストは愛ゆえに罪の刑罰の苦しみを人間の代わりに受けられました。

そして神は、十字架が自分の罪の身代わりの死であったと信じる者をすべて赦し、永遠の命を与え、天国に迎え入れるようになさいました。

ここでのポイントは、キリストを信じることが強制でも義務でもないことです。

イエス・キリストを信じているから生きていられ、信じていないから命を取られるということはありません。

人は全て、クリスチャンであるかどうかにかかわらず、肉体の死を迎えるのです。

信じる、信じないは自由。

ですから、もしかしたら「結局誰も信じなかった」ということもあり得たわけで、神の子キリストの命という莫大な犠牲は全くの無駄に終わったかもしれません。

無条件の愛とはそういう危険性をはらんでいます。

しかし、人が一旦この神の愛を知り、アガペーの愛で愛された時、その愛に報いたいと思うようになるのです。

人類の歴史を見ると、

「神は愛である」
(第1ヨハネ4:8)

という無条件の愛の神に出会い、その愛で人を愛するようになり、その愛がさらにまた次の愛を生む出来事が起きているのを知ることができます。

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山形県米沢市では毎年盛大に上杉祭りが行われます。

明治27年、そのお祭りの最中、公園で伝道中の英国聖公会女性宣教師ミス・イムマンが何者かに投石され、片目を失明するという重傷を負いました。

その32年前、生麦事件という幕末の薩摩藩士によるイギリス人殺傷事件があったことから、山形県知事は国際紛争になることを恐れて病院に日参し、犯人逮捕に乗り出しました。

ところが、ミス・イムマンは

「たとえ一眼を失っても千人を啓蒙できれば本望です」

と言い、自分から捜査打ち切りを願い出ました。

このことに県民は感動し、犯人も良心の珂責に堪えられず、自首します。

関才右衛門という当時の興譲館中学四年生でした。

ゆるされた関は後に海軍兵学校に進み、大佐まで昇進します。

彼は終生イムマンに師事し、英国に渡って聖公会の洗礼を受けたとのことです。
(惠隆之介著、『敵兵を救助せよ!』、草思社、より)

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無条件の愛で愛されていることを確認する今日として参りましょう。

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