今日のみ言葉【No.2036】(2019年 6月17日)「聖書の読み方(12)」
わたしがあなたがたに命じる言葉に付け加えてはならない。また減らしてはならない。わたしが命じるあなたがたの神、主の命令を守ることのできるためである。
(申命記4:2)
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私が行っていたアメリカの神学校の近くには、数軒のキリスト教古書店がありました。
そこを巡るのが息抜きでもあり楽しみでもあったのですが、驚いたのは数多くの説教集が置いてあったことです。
それらを手にとってパラパラと眺めると、有名な説教者たちの御言葉のメッセージですから素晴らしい内容です。
「私の下手な説教より、これをそのまま日曜礼拝の説教で話したほうがいいのではないか」
と思ったくらいです。
しかしその考えは誤りです。
聖書解釈には固定性と応用性があるからです。
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聖書から汲み出すメッセージには固定性と応用性があります。
固定性とは、その聖書本文が示すそのままの内容のことです。
たとえば、マルコによる福音書第4章35節~41節にイエス様が「静まれ、黙れ」と言われて嵐を静めた記事があります。
これは、書かれてあるとおりの出来事が起きたのだとありのまま読み、イエス様は風も海も従わせる力を持った御方なのだと読むのです。
そこから、
「イエス・キリストは自然界を支配する権威を持った御方であり、神性を備えた方だ」
というのが汲み出せる固定的メッセージです。
応用性とは、その固定的メッセージが現代に生きる私たちにどのように語りかけられているかということです。
つまり、今の時代に対して、その聖書本文はどのような意味を持つかを考え、生活に適用するということです。
これはその時代や聞く人々の状況によって変わります。
例えば環境汚染の時代なら、
「各々、自己中心の生き方を改め、イエス・キリストが示す生き方に方向転換すれば、自然界を支配されるイエス様は必ず自然環境を元の姿に戻して下さいます」
と人々に悔い改めを勧めるメッセージを語ることができるでしょう。
また、聞く会衆が苦難の中にいるなら、
「神の子のイエス様は、大自然同様、あなたの人生を支配する力をお持ちです。この方にゆだね、あなたの人生の嵐を静めていただきましょう」
と、励ましのメッセージを届けることができます。
今は説教者の側から語りましたが、聖書を読んでディボーションする個人の場合も同じです。
まずありのまま読み(固定性)、自分の生活にこの御言葉は何を言っているのか(応用性)を思い巡らすのです。
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ここで注意しなければならないことは、「読み出し」と「読み入れ」です。
聖書本来の意味を「読み出す」ことが正しい読み方ですが、人は無意識に自分の考えを聖書の中に「読み入れ」てしまいます。
それはどういうことかというと、自分が思っていることやそうなって欲しいと思うこと、説教者なら自分が主張したいことを聖書の中に「読み入れ」てしまうのです。
例えば先ほどのマルコの箇所で説教者が「この嵐は現在の金融危機のことだ」とか、「全世界を襲うテロの嵐だ」と自分の考えを読み込んでメッセージをしてしまったら大変です。
そうすると、その先は聖書が示す方向から外れてしまい、迷い道に踏み込みます。
また、ディボーションをする方が毒麦のたとえ話を読んだ時、「この毒麦とは私のことだ」と思うのも読み入れです。
それを固定性とするなら、応用性は「私は今は教会にいられるが、最後は切られる」となり、「私はここにいてはいけないのではないか」という暗い気持ちになります。
ここでの正しい「読み出し」とは、
「毒麦とは偽りの教理を教会に持ってくる人のことで、そういう人も混在するのが教会のありのままの姿。しかし最終的に神ははっきりと裁きをなされる」
というものです。
ですから、応用性として、「私はその状態の中でどう生きたら良いのか」ということを考え、「他の人の動向に左右されず、まず、自分の霊的成長に努めよう」とするなら、それは健全かつ正しいメッセージの汲み取り方と言えるでしょう。
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今日は少し難しい話になったかもしれませんが、皆様の聖書の読み方の一助になれば幸いです。
今日も正しく聖書から命の清水を汲み出すことができますように…。
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