今日のみ言葉【No.2007】(2019年 5月14日)「ペテロの告白（3）」
ペテロが答えて言った、「あなたこそキリストです」。するとイエスは、自分のことをだれにも言ってはいけないと、彼らを戒められた。
（マルコ8:29-30）
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東京都心から気軽に行ける山として人気の高尾山は、標高599メートルでさほど高くもなく、登山には手頃な山です。
ケーブルカーがあり、登山道も整備され、しかも登山者数が多いのですから、遭難や迷子になる人などいないと思いますが、意外と救助要請というのはあるのだそうです。
もし迷い道に入ったようだと気がついたら、その先にゴールは無いものとあきらめ、今まで費やした時間も労力ももったいないですが、すっぱり見極めをつけ、面倒で損した気分を味わいながらでも、元来た道を引き返すのが得策です。
それが結局一番効率的で安全なやり方です。
さて、キリストの弟子たちはどういう道をたどり、どういう一歩を踏み出したのでしょうか。
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「それでは、あなたがたはわたしをだれと言うか」
というイエス様の問いに対して、ペテロは
「あなたこそキリストです」
と答えました。
つまり、ナザレのイエスという人物は、聖書で約束されていた神からの救い主（メシア）だと彼は告白したのです。
何と素晴らしい信仰告白ではないでしょうか。
ここまで来るのには幾多の困難がありましたが、とうとう弟子たちはこの信仰の高嶺に到達したのです。
私がイエス様なら、おめでとうと言ってパチパチと拍手をしたいところです。
ところが、どうやらこの位置はゴールの山頂ではなく、山の麓の登山口にようやく立ったという程度のものでした。
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実はこの時点よりずっと前に同じような告白をしていた存在があります。
悪霊です。
ルカによる福音書にこう記されてあります。
「悪霊も『あなたこそ神の子です』と叫びながら多くの人々から出ていった。しかし、イエスは彼らを戒めて、物を言うことをお許しにならなかった。彼らがイエスはキリストだと知っていたからである」
（ルカ4:41）
霊の世界ではイエス様は最高権威をもった御方で、日本なら総理大臣、アメリカなら大統領に匹敵するような方であることを悪霊たちは知っていました。
彼らにはイエス様が神の子であり、自分たちの存在を左右する力のある御方だということがはっきりと見えていたので恐れたわけです。
しかし、人間である我々は濃い霧がかかった中で登山をするようなものですから、何がなんだかよくわかりません。
ようやく山頂への入り口を見出し、ペテロは勇気を出して一歩踏み出したのですが、イエス様の応答は
「自分のことをだれにも言ってはいけないと、彼らを戒められた」
（マルコ8:30）
というものでした。
これは意外なことではないでしょうか？
「全世界に出て行って、すべての造られたものに福音を宣べ伝えよ」
（マルコ16:15）
のはずなのではないでしょうか？
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実はこの段階ではまだなのです。
ペテロの告白は素晴らしいのですが、弟子たちが持っていた救い主（メシア）のイメージは、イエス様が果たそうとする救いとはかけ離れていたからです。
イエス様は十字架で人間の罪を贖う「しもべ」としての段階のメシアの役割を果たそうとしておられましたが、弟子たちの思いは「全世界を治める王様」だとしか思っていません。
そちら方面にご自分のことを宣伝されては本来の目的の妨げになるので、イエス様は「自分のことをだれにも言ってはいけない」と、彼らを戒められたのです。
しかし彼らはわからないまま別の登山口の方を登っていってしまいます。
そして遭難し、道がわからなくなり、迷子になったのです。
後にそのことを悟った彼らは、最初の地点まで戻ることになります。
しかし、そのところで
「彼らが陸に上って見ると、炭火がおこしてあって、その上に魚がのせてあり、またそこにパンがあった」
（ヨハネ21:9）
という恵みにあずかりました。
イエス様は、もう一度やろう、と私たちをゆるし、励ましてくださる御方なのです。
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今は全く場違いな方向に行ったとしても、イエス様はあなたをゆるす用意をしておられ、
「悔い改めて私と同じ方向に歩まないか」
と御手を差し出していてくださる御方なのです。
振り出しに戻らされるような人生は、実はイエス様と共に歩む人生の再スタートです。
堂々と今ある自分の信じるところを述べ、神に信頼してあなたの一歩を踏み出して参りましょう。
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