今日のみ言葉【No.2086】(2019年 9月 2日)「キリスト教イロハ(13)『イザヤ』」

2019年9月2日

「預言者イザヤ」ミケランジェロ作 システィーナ礼拝堂

ユダの家の、のがれて残る者は再び下に根を張り、上に実を結ぶ。
(イザヤ37:31)

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元駐韓大使が書いた『韓国人に生まれなくてよかった』という本が2017年に出版されました。

私は

「いくら本の題名が売れ行きを左右するとは言え、これはなあ…」

と眉をひそめていました。

ところが2年後の今、その本に書かれてある通りの日韓関係になっています。

現在、様々な人がいろいろな意見を言っていますが、

「この人の言うことなら信頼できる」

と思えるのはこの著者です。

理由は簡単。ピタリと言い当てているからです。

イザヤの預言も同じで、彼の言ったことがその通りに成就しているので信頼が置けるのです。

新約聖書では詩篇の次に引用回数が多いイザヤ書ですが、イザヤとはどのような人物だったのでしょうか?

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イザヤは紀元前742年から701年の40年間、南ユダ王国で預言活動をしました。

イザヤの言葉は列王紀下とイザヤ書に残されています。

彼は一人の女預言者と結婚し、二人の息子を持つ父親で、貴族階級出身の人でした。

今で言えば富裕で知的な官僚が神に召されて預言者として生きたようなもので、伝説によれば木製のノコギリで轢かれて殉死したとされています。

彼の預言内容は、人間の高ぶりを非難し、神に信頼することを強調したからです。

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そのことは、エルサレムがアッスリヤ軍に包囲された列王紀下第19章とイザヤ書第36章~37章に最もよく表れています。

イザヤはヒゼキヤ王を励まし、降伏しないで神に信頼するよう勧めました。

実はヒゼキヤ王はエジプトを頼っていました。

アッスリヤ対バビロニア・エジプトという大国間の構図の中、小国が右往左往し、「敵の敵は味方」と心ならずも同盟を組むというのは今も昔も変わりありません。

しかしイザヤは神に信頼せよと説き、その点に徹底します。

「そむける子らはわざわいだ、彼らは計りごとを行うけれども、わたしによってではない。彼らは同盟を結ぶけれども、わが霊によってではない、罪に罪を加えるためだ。彼らはわが言葉を求めず、エジプトへ下っていって、パロの保護にたより、エジプトの陰に隠れようとする。」
(イザヤ30:1-2)

ここでイザヤの言葉を神からの警告と受け止め、即座に悔い改めることが模範解答なのですが、人間なかなかそうはいきません。

ヒゼキヤ王は敵のアッスリヤに高価な貢物を渡し、去ってくれるようにお願いしますが、敵軍はもらうものはもらって、その約束を果たさず、逆に南ユダ王国の各地を次々と占領していきます。

王が本当に神を信頼するに至るのは、とうとうエルサレムが敵の大軍に囲まれ、陥落寸前、絶体絶命の境地に追い込まれた時です。

神を信頼するより他なしという地点まで来て、ヒゼキヤ王は心からの祈りを捧げます。

「今われわれの神、主よ、どうぞ、われわれを彼の手から救い出してください。そうすれば地の国々は皆あなただけが主でいらせられることを知るようになるでしょう」
(イザヤ37:20)

神の御心の方向に方向転換し、悔い改める者には、時が遅すぎるように見えても、必ず神の解答が与えられます。

イザヤはヒゼキヤ王に使者を遣わし、こう伝えさせました。

(1)アッスリヤは神が国へ引き戻す(29節)

(2)逃げるな、とどまれ(30節)

(3)保証としての希望を与える(31節)

「ユダの家の、のがれて残る者は再び下に根を張り、上に実を結ぶ」
(イザヤ37:31)

今どんなに荒らされていたとしても、やがて再び実を見る時が来るから、神が示された地、与えられた場所から動かず、そこに根を張りなさいというのです。

すると、自分が結びたい実でなく、神がその根から結ばせる実を与えて下さるのです。

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その後、事態はどうなったでしょうか?

聖書によると、一晩にしてアッスリヤの大軍は滅ぼされてしまいました。

「その夜、主の使が出て、アッスリヤの陣営で十八万五千人を撃ち殺した。人々が朝早く起きて見ると、彼らは皆、死体となっていた。アッスリヤの王セナケリブは立ち去り、帰って行ってニネベにいた」
(列王紀下19:35-36)

イザヤの言った通りです。

さて、そうなると、私たちはすぐ明日から自分の思い通りの生活を送れると思いがちですが、そうではなく、神に従った時には神の思い通りの生活が進むようになるのです。

具体的には、その年の作物は敵軍によって荒らされたため、満足な収穫は得られないということです。

「ことしは落ち穂から生えた物を食べ」
(イザヤ37:30)

翌年もはかばかしくありません。

「二年目には、またその落ち穂から生えた物を食べ」

しかし3年目に軌道に乗ると保証しています。

「三年目には種をまき、刈り入れ、ぶどう畑を作ってその実を食べる。」

そしてその後に

「ユダの家の、のがれて残る者は再び下に根を張り、上に実を結ぶ」
(イザヤ37:31)

という繁栄が約束されているのです。

イザヤは実に正確に未来を語ります。

そしてその通りになります。

ここに彼の言葉への信頼が置かれ、そしてそれは神への強い信頼へと私たちを導いていくのです。

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時には苦い現実を通るのだよ、と真実を語る真の預言者の言葉に耳を傾け、神への信頼の一歩を踏み出して参りましょう。

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