今日のみ言葉【No.3135】(2023年 7月20日)「ベテルでの神との出会い（6）」

ヤコブは誓いを立てて言った、「神がわたしと共にいまし、わたしの行くこの道でわたしを守り、食べるパンと着る着物を賜い、安らかに父の家に帰らせてくださるなら、主をわたしの神といたしましょう。
（創世記28:20-21）

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あなたが東京都心で電車に乗っていると、長身で手足が長く、とてもおしゃれな、20代前半らしき美しい女性が乗り込んできたとします。

この人はモデルさんでしょうか？あるいは女子大生だろうか？それともモデルもしている女子大生でしょうか？

あなたはどう判断なさいますか？

もしあなたが、

「きっとこの人はモデルをしている女子大生なのだろう」

と思ったとしたら、その判断は間違いである確率は相当に高いです。

なぜなら、モデルの数は女子大生に比べれば圧倒的に少ないからです。

しかし案外、人はこのような想像をするものです。

「これは事前確率の無視と呼ばれる認知バイアスの現れ」
（『認知バイアス』、鈴木宏昭著、講談社、P58）

なのだそうです。

バイアスとは、物事の一側面にだけ心が奪われて、他方面に関心が向かない心の偏りのことを言います。

今日の聖書箇所は、このバイアスというものを考えると理解しやすくなるところです。

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ヤコブは夢で神と明確な出会いをした後、誓いを立てます。

「神がわたしと共にいまし、わたしの行くこの道でわたしを守り、食べるパンと着る着物を賜い、安らかに父の家に帰らせてくださるなら、主をわたしの神といたしましょう」
（創世記28:20-21）

これを読むと、

「パンと着物がなかったら、神様なんか信じないぞ。父の家に帰るまでは気を抜かないぞ」

と、ヤコブが神を監視し、神が条件を守ったら信じてやっても良い、というような感じに思えます。

ここで彼は、

「神を信じてやるか、信じてやらないか、決めてやるから証拠を見せてみろ」

と言っているのでしょうか？

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「疑い」という方向にバイアスがかかっているか、「信頼」という方向にバイアスがかかっているかがポイントです。

疑う人は、それが本当かどうか、間違いではないか、と確かめようとします。

そのための実験を重ね、慎重に検討し、どの場合にも神がいるという結果が出た場合には神を信じようとし、

「あなたがくださるすべての物の十分の一を、わたしは必ずあなたにささげます」
（創世記28:22）

と、自分の分を果たそうとします。

ヤコブの場合はそれとは違います。

彼には、神はいらっしゃって自分の前に姿を表した、という強烈な体験があります。

ですから、彼のバイアスは「信じる」という方向に向かっています。

そうすると、

「神がわたしと共にいまし」

ということを生活の中で探し、

「ああ、このことの中に神はいらっしゃった」

と、神の存在を確かめる生き方となります。

実際は「食べるパンと着る着物」に乏しい時間帯はあったはずです。

しかし、後にそれが与えられると、「無い」ということが記憶に植え付けられるのではなく、「あった」という方に心のバイアスがかかり、

「わたしの行くこの道でわたしを守り」
（創世記28:20）

とは真実であった、と確かめるのです。

ヤコブは神が条件を満たすかどうか検査しようとしたのではありません。

かれこれの条件を満たすようだったら信じてやってもよい、というのではなく、初めから彼は神を信じ、その後の人生でその神の存在を体験を通して確認していった人生なのです。

ですから、

「主をわたしの神といたしましょう」
（創世記28:21）

とは、ヤコブが主を神とするかどうか決めるということではなく、

「やはりあなたはわたしの神だったのですね」

と確かめつつ生きるということなのです。

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あなたの信仰生活は疑いの方に向いていますか？

それとも信頼の方に向いていますか？

神に信頼するという方向にバイアスをかける今日として参りましょう。

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