今日のみ言葉【No.2699】(2021年12月 9日)「キリスト教イロハ(203)『マタイによる福音書』」

聖マタイと天使(カラヴァッジオ、1602年)

あなたがたが自分を愛する者を愛したからとて、なんの報いがあろうか。そのようなことは取税人でもするではないか。
(マタイ5:46)

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新約聖書には、マタイ・マルコ・ルカ・ヨハネの4つの福音書がありますが、それぞれの記者の個性が発揮されて書かれてあります。

たとえば、ルカは医者なので、片手のなえた人の癒やしの奇跡のところは、「右手のなえた人」と細かい部分まで正確に書いています。

マタイによる福音書の特徴は、彼が取税人であったというところです。

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福音書とは、「福音」、つまり「良きおとずれ」(グッドニュース)のことです。

そこにはイエス・キリストの教えと行動が記されています。

マタイによる福音書の内容は、

(1)イエスの誕生(1〜2章)

(2)伝道の準備(3〜4章11節)

(3)ガリラヤ伝道(4章12節〜18章)

(4)エルサレムへの旅(19〜20章)

(5)エルサレム伝道(21〜25章)

(6)受難と復活(26〜28章)

となっています。

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さて、マタイによる福音書の特徴は、これがユダヤ人向けに書かれた福音書だということです。

ユダヤ人は、イエスをキリストであると信じる人たちと、そうではないと考える人たちに二分されていました。

ユダヤ人には、なぜイエスが救い主であるかをユダヤ人がわかる方法で知らせなければなりません。

そのためには、彼らが信じる旧約聖書から説明できて、イエスこそ旧約聖書で預言されていた人物であると裏付けをしっかりできる人が必要です。

その役目を担ったのがマタイです。

彼はもちろんユダヤ人ですから、旧約聖書を理解し、適切に引用することができました。

また、取税人という仕事をしていたので、あらゆるところから税金を集め、正確に計算し、整理し、提出することは得意中の得意です。

従って、マタイによる福音書では、山上の垂訓(5章〜7章)、天国のたとえ(13章)、終末の預言(24章〜25章)と、1つの主題の沿った記事が集中的に載せられています。

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ただし、これらの「仕事」なら、現代のコンピューターを使って「AI」のプログラムに作業させればもっと良いものが作れるかもしれません。

人間と機械が違うのは、心を持っているかどうかです。

マタイは本当に神の愛に打たれ、心底救われたと感謝して生きた人でした。

それが今日の聖句に現れています。

「あなたがたが自分を愛する者を愛したからとて、なんの報いがあろうか。そのようなことは取税人でもするではないか」
(マタイ5:46)

ルカによる福音書ではこの並行箇所を

「自分を愛してくれる者を愛したからとて、どれほどの手柄になろうか。罪人でさえ、自分を愛してくれる者を愛している」
(ルカ6:32)

と記しています。

重大な違いがあるのがおわかりでしょうか?

そうです、あなたが見つけた通りです。

ルカが「罪人」という言葉を使っているところを、マタイはあえて「取税人」としています。

彼は罪人のかしら、代表として「取税人」である自分を挙げているのです。

違法な取り立てをし、私腹を肥やし、世の富と繁栄を求め、ほぼそれを集中にしながら、心に満たされない思いを抱えていたマタイ…。

その自分の心を見抜き、声をかけて下さり、弟子とし召して下さったイエス・キリスト。

マタイは本当に救われたという喜びを持って、この福音書を記したのです。

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マタイの心を知りつつ、マタイによる福音書を読み進めていきたいものです。

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