今日のみ言葉【No.2060】(2019年 7月19日)「山上の栄光の姿(7)」
2019年7月19日
しかしあなたがたに言っておく、エリヤはすでにきたのだ。そして彼について書いてあるように、人々は自分かってに彼をあしらった」。
(マルコ9:13)
——————
「先生はクリスチャンだから、奥様とは仲がいいんでしょうね?」
という質問をされた時、私が
「ええ、おかげさまで家内とはハッピーに暮らし、今度は○○温泉に一緒に旅行に行きます」
などと答えたら全く的外れな答になります。
なぜなら、人の質問の背後には、その人なりの事情が隠されているからです。
ここは、
「ははーん、この方の夫婦仲はあまり思わしくなく、何かその辺のところを聞いてもらいたいのだな」
と読まなければなりません。
そこで私は
「ありがとうございます。ところで、あなたの方はいかがですか?」
と逆に質問をし返します。
すると、
「ええ、実はですね…」
と、その後、とうとうと語り続けるものです。
質問の背後にはその人自身が隠れています。
弟子たちの質問の背後にも同じような事情があり、彼らが味わった体験がありました。
-*-*-*-*-*-*-
山上で預言者エリヤが現れ、イエス様と語っていたのを見た弟子たちは、山から下りてくる途中、イエス様にこう尋ねました。
「なぜ、律法学者たちは、エリヤが先に来るはずだと言っているのですか」
(マルコ9:11)
実は彼らは律法学者たちから批判を受けていたのです。
それは
「見よ、主の大いなる恐るべき日が来る前に、わたしは預言者エリヤをあなたがたにつかわす」
(マラキ4:5)
という預言から、エリヤがまだ来ていないのだからイエスはメシアではない、という否定的指摘でした。
聖書から特定の一句だけを抜き出して、それを唯一の土台として解釈しようとすると、独りよがりの解釈に陥りがちです。
全体の中の一部としてその箇所を見、文脈という流れの中でこの箇所はどうか、と見ていかなければなりません。
イエス様はそのことを弟子たちに教えるため、イザヤ書第53章を出して、弟子たちに逆に質問なさいました。
「確かに、エリヤが先にきて、万事を元どおりに改める。しかし、人の子について、彼が多くの苦しみを受け、かつ恥ずかしめられると、書いてあるのはなぜか」
(マルコ9:12)
一つでも大変なのに、二つの聖書箇所を出されて解釈するのはもっと大変なように思いますが、むしろその方が正確に意味を定めることができます。
それは三面鏡を使うようなもので、違った角度から写し出されて初めて正確な自分の姿がわかるのと似ています。
イエス様は、メシアの先駆者として来るエリヤとは誰であり、メシアの受難とどう関係があるのかを次のように話されました。
-*-*-*-*-*-*-
・預言されたエリヤの働きをしたのはバプテスマのヨハネであった。
・「万事を元どおりに改める」(12節)ために彼は来たが、「彼について書いてあるように、人々は自分かってに彼をあしらった」(13節)。
・この「彼について」とは、列王紀上第19章1節以下のエリヤに対してなされた迫害であり、バプテスマのヨハネはこれと同じ迫害をヘロデヤの奸計を通して受けたのだから、エリヤが先に来たことがこのことによって証明されている。
・人々がバプテスマのヨハネを殺したことによって、人の子(救い主)の道を準備させない結果となった。
・よって、救い主はイザヤ書の預言通りに苦しみを受けなければならなくなった。
-*-*-*-*-*-*-
人間を救うはずの神の御計画が、人間の手によって壊されたことをここで見ることができます。
しかし、神は人間のさらに一歩先を行く御方で、その人間の失敗を先にご存知であり、逆にそのことを用いて神の御旨を成就されるお方なのです。
一時はサタンの勝利と見える現実はありますが、神様が歴史を動かす車輪は、大きく、ゆっくりと回り、この世界は必ずそのとおりに動いていくのです。
そのことを知らないでいると、焦りばかりが多くなる信仰生活となります。
山の上から麓(ふもと)を眺めるような気持でゆったりと自分の人生や世の中の動きを見、一喜一憂する自分をなだめながら、神の勝利を待ち望みつつ生きることが、クリスチャンに備えられた真っ直ぐな道なのです。
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【祈り】
「神様、本当に世の中のめまぐるしい動きに刺激され、心配や不安で揺り動かされます。また、あの人が言った言葉で動揺する私です。しかし、あなたの大きな御手の中でしか事は起きないのですね。そのことを信じます。私の人生の時間を遥かに越えた大きな時計であなたが私を動かしていてくださることに感謝します」
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神の勝利を待ち望む信仰を今日も養って参りましょう。
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