今日のみ言葉【No.1326】(2016年 7月11日) 015 「やもめとそのひとり息子」(1)
主はこの婦人を見て深い同情を寄せられ、「泣かないでいなさい」と言われた。
(ルカ7:13)
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私はロサンゼルスにいた時、カラスのお葬式をしたことがあります。
ある冬の朝、ずっとカラスが鳴き続けているので、調べてみると、水を抜いたプールの底に弱った子ガラスがいました。
ケガをしたのか、わずかに残ったプールの消毒水でも飲んだのか、保護してから間もなく死んでしまいました。
木のてっぺんの枝にカーカー鳴いている2羽の親ガラスがいます。
「あなたの息子さんは死んでしまった!」
と私は大声で教えましたが、アメリカのカラスは英語でなければ通じなかったようで、鳴くのをやめません。
そこで私はホームステイ先の奥様に箱を用意してもらい、
「残念ながらあなたの息子さんは亡くなられました。今から私が葬儀をいたします」
と言い、木の上から見ている親ガラスの目の前で子ガラスの遺体を入れ、
「天の神様、短い人生でしたが、不慮の災難で亡くなられたこの子ガラスをあなたのみもとに送ります。お父さんお母さんの上に天来の慰めを与えて下さい」
とお祈りをし、フタをした途端、今まで何時間も鳴き続けていた親ガラスがピタッと鳴くのをやめました。
穴を掘り、そこに箱を入れ、土をかけ、埋葬し、
「以上でございます」
と呼びかけると、何時間も木の上から離れなかった親ガラスたちは飛び立って行きました。
あきらめがついたのでしょう。
私は一連の出来事を通してカラスの情の深さを知らされました。
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鳥でもそうなら、人間ならなおさらです。
ことに、ルカ福音書7章11節〜17節に出てくる母親の悲しみはどれほど深かったか計り知れません。
「あるやもめにとってひとりむすこであった者が死んだので、葬りに出すところであった。」
(ルカ7:12)
彼女は「やもめ」なので、夫を失い、女手ひとつで息子を育ててきたことが分かります。
現代日本のシングルマザーが子供と二人で暮らすのも大変なのですから、2000年前の夫に先立たれた女性が一人で生計を立てるのには相当な苦労があったことでしょう。
しかし、いよいよ息子も大きくなり、老いてきた自分は彼の世話になってようやく苦労から解放される、という矢先に、頼りとしていたひとり息子が死んでしまったのです。
苦労に苦労を重ね、たった一つの希望であった一人息子の命が絶たれる…。
一体この先どうやって生きていったらいいのか、希望が持てない…。
それがこの母親の前に現れた現実の姿でした。
人生にはこのような時があります。
大事にしていた希望が、目の前で、あっけなく取り去られるのです。
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「しょうがない」
「しかたがない」
「あきらめるほかない」
という言葉を自分に言い聞かせるしかなかったこのやもめでしたが、自分の中から出てくる言葉とは全く異質の言葉を彼女は聞くことになります。
それが
「泣かないでいなさい」
(ルカ7:13)
です。
泣いても無駄だから、という意味ではありません。
もう泣く必要がないから、「泣かないでいなさい」なのです。
絶望のまっただ中で会って下さるお方。
それがイエス・キリストです。
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希望が失われた時こそ、イエス様と出会える時です。
今日も目を天に向けて、キリストの御声を聞く一日として参りましょう。
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