今日のみ言葉【No.2410】(2020年11月20日)「ピラトによる裁判(2)」
さて、祭のたびごとに、ピラトは人々が願い出る囚人ひとりを、ゆるしてやることにしていた。
(マルコ15:6)
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表に流れている情報と実際の状況は違うことがよくあります。
私はイラク戦争開戦1週間後のアメリカに入国したことがありますが、テロだ何だとニュースで言われていたことが嘘のようにいつもと変わらぬ日常生活が流れ、戦争反対でなく戦争賛成のデモ隊にも出会いました。
ミサイルが飛んでくる、爆弾が破裂する、と言われていたイスラエルでは観光客にあふれる平和な街を見てきました。
戒厳令が解かれたばかりの台湾で1ヶ月ほど臨床牧会研修をしてきましたが、対立しているはずの中国の揚子江でとれる魚を食べ、表向きは敵対していても民間では当たり前のように交易している事実を見ました。
イエス様の裁判にあたり、訴えられた理由の表と裏を見抜いたのがピラトでした。
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総督ピラトは頭の回転が速い人だったようで、祭司長たちが訴え出た表の理由も裏の理由も察知しました。
「これは妬みだな」
ピラトはイエス様に対して
「あなたがユダヤ人の王であるか」
(マルコ15:2)
と尋ねていますが、それには
「お前がか?こんなみすぼらしいなりをしたお前が王だというのか。まさかそんなことはあるまい」
というニュアンスが込められています。
ピラトの前に連れ出されたイエス様は、この直前の大祭司カヤパ邸での宗教裁判の後、
「そして、ある者はイエスにつばきをかけ、目隠しをし、こぶしでたたいて、『言いあててみよ』と言いはじめた。また下役どもはイエスを引きとって、手のひらでたたいた」
(マルコ14:65)
という暴虐にあっていたのですから、顔は腫れ、血は流れ、服はボロボロになっていたはずです。
ピラトは一目で
「ナザレのイエスと言われるこの男には罪はない」
と見て取ったのです。
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さて、ピラトが動く理由は「保身」です。
聖書はイスラエルを中心として書かれていますので、ユダヤのエルサレムが世界の中心であったかのように感じますが、世界史的に見れば当時の世界の中心はローマでユダヤは辺境の地です。
ピラトは地方勤務から本社勤務に戻りたいと願っているサラリーマンのようなものです。
本社があるローマに戻るためには、赴任先でヘマをしでかさないことです。
ですから、行った先の地域の人々の生活を良くしようという意欲が高いはずはありません。
何の問題も起こさないことが彼の優先順位一番だったと考えるべきです。
ピラトは保身を最優先していたと考えると、権力者であるはずの彼が民衆の意見に振り回されたいきさつがよく理解できるようになります。
そこで彼は、イエスを無罪とし、しかも民衆の機嫌を損ねて暴動にならないような策を考えました。
それが
「祭のたびごとに、ピラトは人々が願い出る囚人ひとりを、ゆるしてやることにしていた」
(マルコ15:6)
ということです。
ここでの祭とは過越の祭のことで、ちょうどその日がこの祭の日だったの好都合でした。
そして、イエスの代わりになる者として持ち出されたのがバラバという人物です。
以下、次回に続きます。
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ピラトのように利発で策を練る人であっても、神の大きな御計画の中で動かされているに過ぎないことを覚えましょう。
人間の知恵以上の神の知恵で導かれていることを覚える今日として参りましょう。
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