今日のみ言葉【No.2003】(2019年 5月 9日)「聖書の読み方(3)」
あなたがたが自分を愛する者を愛したからとて、なんの報いがあろうか。そのようなことは取税人でもするではないか。
(マタイ5:46)
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カラオケに行くと、それぞれの曲に合わせた背景映像が流れ、雰囲気が醸し出されます。
あの背景画像を制作する会社の方に聞くと、個性を消しながらも曲のムードを作り出す工夫が必要なのだそうです。
例えば、今やガラケーが出てくるシーンは時代遅れと感じられて使えません。
場所が特定されてもいけないので、それらしい雰囲気を持ちながらどこだかわからないように撮影します。
新約聖書の福音書では、イエス・キリストが主役として書かれていますが、4人の記者たちの個性が微妙に出ていて、それが福音書を読む時に神の御心を知る手助けともなります。
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イエス・キリストの言葉と行いを記録した福音書は4人の記者によって書かれました。
同じ出来事を描写するのに、やはり4人それぞれの個性が出てくることは大変興味深いところです。
例えばマタイは取税人であったので、イエス様があの時、この時、その時、あちら、こちら、そちらで別々に語った言葉を漏れなく集め、整理して記載しているという特徴があります。
ですから、山上の垂訓はイエス様が一気にその場で話されたように見えますが、実際は時と場所が異なっている話をマタイがまとめたのであろうと言われています。
その他にも、天国のたとえ話やパリサイ人への叱責、世の終わりの話などが一つのまとまりとして連続で記載されてあるので、神の御心を知りたい読者にとっては至れり尽くせりの書かれ方です。
しかし、聖書を初めて開いた時、そんなことを知らない私は、
「なんだか同じようなことがまた出てきたなあ。もうお腹いっぱいだ」
と思いながらも、なんとか意志の力で読み進めた記憶があります。
今思えば、マタイの親切心を知らないで、随分もったいないことをしたものだと思います。
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特にマタイの人間味とイエス様へのあふれるばかりの感謝が読み取れるのが今日の聖句です。
「あなたがたが自分を愛する者を愛したからとて、なんの報いがあろうか。そのようなことは取税人でもするではないか」
(マタイ5:46)
ルカによる福音書では、マタイが「取税人でも」とした所を「罪人でさえ」と書いています。
「自分を愛してくれる者を愛したからとて、どれほどの手柄になろうか。罪人でさえ、自分を愛してくれる者を愛している」
(ルカ6:32)
こちらのほうが一般的でしょう。
ところが、マタイはあえて自分のかつての職業名である「取税人」と書かざるを得なかったのです。
それは過去の罪人としての名前です。
しかし、救われた今となっては、
「私はあの所から、あんなひどい状態の時にイエス様に目をかけていただき、救われた。取税人という過去は今は私の宝だ」
と思うようになったのです。
クリスチャン作家の三浦綾子さんは次のように書いておられます。
「このように忌み嫌われ、軽蔑されていた取税人マタイに、ある日イエスが目をとめられたのだ。イエスはマタイを見て、『わたしに従ってきなさい』と言われた。おそらくイエスは、マタイのむなしさ寂しさを、その顔の上にはっきりと見られたにちがいない。マタイは直ちに、イエスに従った。」
「イエスに従うということは、取税人の仕事をなげうつことである。今まで得ていた多くの収入をなげうつことである。が、マタイは、決然としてイエスにつき従った。それは一体なぜか。イエスのまなざしの中に愛を見たからだ。慈しみを見たからだ。ほかの人々の示す、あの蔑みや冷たさが、イエスには全く見られなかったからだ。」
(三浦綾子著、『新約聖書入門』、光文社、P32-33)
マタイはレビという名を捨て、マタイと名乗るようになりました。
マタイとは「神の賜物」という意味です。
マタイによる福音書の底流には「あの昔があったからこそ今の私の幸いがある」という救われた喜びとあふれるばかりの感謝が流れています。
このことを心の片隅にとどめながらマタイによる福音書を読むと、なお一層、神の愛が心にしみわたる聖書通読となることでしょう。
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イエス・キリストは私たちの封印したい過去を宝としてくださる御方です。
神の言葉の聖書を通して、今日もその人生の宝を発見し、喜びの日を送って参りましょう。
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