今日のみ言葉【No.1646】(2017年11月13日)「 人として生まれ、人として生きる」
ところが、彼らがベツレヘムに滞在している間に、マリヤは月が満ちて、初子を産み、布にくるんで、飼葉おけの中に寝かせた。客間には彼らのいる余地がなかったからである。
(ルカ2:6-7)
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「イエス・キリストはどこの国の人でしょう?」というクイズに、「アメリカ人?」と答える人が今でもいらっしゃいます。
正解は「イスラエル生まれのユダヤ人」です。
彼は人類の歴史上確かに存在し、もしイエス・キリストがいなかったと仮定したら、織田信長や豊臣秀吉もいなかったとしなければならないほどの存在確率なのだそうです。
誕生日が正確に12月25日かどうかは別として、イエス・キリストという人は間違いなくこの世におられました。
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イエス・キリストは人間として生まれました。
「しかし、時の満ちるに及んで、神は御子を女から生れさせ、律法の下に生れさせて、おつかわしになった」
(ガラテヤ4:4)
これを聖書は普通の出産と同じこととしてこう記しています。
「マリヤは月が満ちて、初子を産み、布にくるんで」
(ルカ2:6-7)
同時代の誰もが彼をごく当たり前の人間として見、異世界から来たエイリアンなどとは考えもしませんでした。
「この人は大工ではないか。マリヤのむすこで、ヤコブ、ヨセ、ユダ、シモンの兄弟ではないか。またその姉妹たちも、ここにわたしたちと一緒にいるではないか」
(マルコ6:3)
もし当時のイエス様がそのままの姿で現代の東京の街中を歩いたとしたら、
「中東から来た外人さんみたいだ。映画の撮影でもしてるのかな」
という程度の目でチラリと見られはするでしょうが、すぐに忘れ去られるでしょう。
イエス・キリストはそれくらい普通の人間として生まれたのです。
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キリストが人間として生まれたのには深い神学的理由が挙げられますが、私たちに身近な理由として、私たちと同じ苦しみを味わってくださったからこそ、私たちの気持ちを理解し、助けてくださるということが挙げられます。
「そこで、イエスは、神のみまえにあわれみ深い忠実な大祭司となって、民の罪をあがなうために、あらゆる点において兄弟たちと同じようにならねばならなかった。主ご自身、試錬を受けて苦しまれたからこそ、試錬の中にある者たちを助けることができるのである」
(ヘブル2:17-18)
イエス・キリストは痛みも悲しみも感じないくらい強く、どんな誘惑をも意に関せず、吹き飛ばして楽々人生を生きた方ではありません。
私たちと同じように誘惑に会い、疲れ、悲しみ、他者との心の交流を必要としていた方なのです。
「イエスは御霊によって荒野に導かれた。悪魔に試みられるためである」
(マタイ4:1)
「イエスは旅の疲れを覚えて、そのまま、この井戸のそばにすわっておられた」
(ヨハネ4:6)
「わたしは悲しみのあまり死ぬほどである」
(マタイ26:38)
「イエスは、マルタとその姉妹とラザロとを愛しておられた」
(ヨハネ11:5)
キリストと共に生きるとは、同じ人間として生まれ、私たちと同じ思いを味わった方と共に生きることであり、その方を頼りとして生きることです。
そこには人生の暖かさがあり、気張らないで生きることのできる道が開かれています。
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頼れる存在を見つけ、否定的意味でなく上手に依存して生きることは、自立を目指して生きることと同じくらい大切です。
心理学の世界では、フロイトが自立を強調した代表です。
かつての日本ではフロイトの精神分析が主流でしたが、現在はアドラー心理学が花咲いています。
そして次に来るのが、人は依存し合って生きるものだと主張するコフート心理学であると言われています。
フロイトは自我を育てて鍛えることが正解だと論じ、彼は自分のガンの治療に自分たちが開発したコカイン麻酔を最後まで使おうとせず、あくまで自我によって生きる生き方を追求しました。
一方、コフートは周囲の人の助けを求め、そのサポートによって死の3日前まで講演を続けたと言います。
どちらも人の生き方ですから、どちらかが正解とは言えません。
しかし、イエス・キリストが人間の姿をとって生まれ、私たちと同じ苦しみを味わわれたということは、その苦しみ悲しみを分かち合えるということです。
キリストと共に生きる道。
神に頼り、神に依存しながら生きる道があることを知っておきたいものです。
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人となったイエス・キリストと共に生きる今日として参りましょう。
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