今日のみ言葉【No.2865】(2022年 7月28日)「ソドムの王とサレムの王(1)」
わたしは糸一本でも、くつひも一本でも、あなたのものは何にも受けません。アブラムを富ませたのはわたしだと、あなたが言わないように。
(創世記14:23)
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父親が亡くなった後、実家の物品を整理して、いらない物は処分しようとした時のことです。
私:「このお父さんの背広、もう誰も着れないから捨てるよ」
母:「もったいないけどしょうがないな」
などと母親と確認を取りながら進めていったのですが、ある一品だけは頑として捨てさせないものがありました。
それは大きな火鉢でした。
私:「今どきこんなの使えないよ。炭なんかわざわざ注文しないと買えないんだよ。場所をとるだけだから捨てよう」
と私がいくら説得しても、
母:「いいから取っておけ」
と言って聞きません。
よくよく聞けば、結婚した時に一番最初に買ったものがその火鉢で、家の中の唯一の暖房器具だったのだそうです。
貧乏な新婚夫婦が自分たちの力で初めて買った物ですから、思い出が染み込んで、手放すのは困難でしょう。
それを
「はいどうぞ」
と神様に差し出せるとしたら、そこには
「神はもっと良いものを与えてくださる方であり、私はその方によって支えられているのだ」
という信仰が働くからです。
アブラムはソドムの王を通して信仰が試され、見事に神を信頼する決断をすることができました。
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アブラムはケダラオメルとその連合の王たちを撃ち破って帰ってきました。
「そして彼はすべての財産を取り返し、また身内の者ロトとその財産および女たちと民とを取り返した」
(創世記14:16)
とありますから、ロトの一族だけでなく、ソドムに住んでいた人々も略奪された品々も取り返してきたのです。
当時の常識では、これらは取り返してきた人の所有となります。
ところが、アブラムを出迎えたソドムの王は相当ずる賢い人だったようで、彼にこのように言っています。
「わたしには人をください。財産はあなたが取りなさい」
(創世記14:21)
一見、
「私の町の人々の安全が守られたのですから、もうそれだけで十分です。あなたが取ってきた分捕り品は、どうぞあなたの所有としてご自由にお使いください」
という謙遜で良い人のように感じられますが、実は違います。
ソドムの住民だった人々も、分捕り品も、全部アブラムの所有となるべきなのですから、ソドムの王から
「わたしには人をください。財産はあなたが取りなさい」
(創世記14:21)
と言われる筋合いはないのです。
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ここでアブラムにはいろいろな選択が考えられますが、まず単純に頭にきて、
「何を言ってるか!全部私のものだ!あなたにやるものはない!」
と追い返すことが考えられます。
また、少し頭をひねって、名誉は王に取らせ、実利は自分が取るという考えで、
「王様、左様ですか。では、ありがたく王の憐れみをいただきます」
と言って、自分が低くされる代わりに、財産と共に今後のソドムの王との友好関係を築くという手もあります。
しかし、アブラムは神を第一とする人でした。
彼は神の助けによって救出が完了でき、自分を支えるのは財産でも人でもなく、ただ祝福を与えると契約された神であることを身にしみて感じていました。
すると、ソドムの王の傲慢さにこちらの怒りが引き出されることはありません。
ソドムの王の支配に飲まれてしまう道をたどることもなく、彼はすべてを手放すことができたのです。
「わたしは糸一本でも、くつひも一本でも、あなたのものは何にも受けません。アブラムを富ませたのはわたしだと、あなたが言わないように」
(創世記14:23)
アブラムはこのような霊的応答をもって神に対したので、捧げたもの以上の祝福を得ていきます。
一方、ソドムの王は、アブラムに対する感謝も、また、彼の背後で働く神への感謝の応答もしませんでした。
これは霊的なことが何も見えていないということです。
この状態にあっては、罪を犯していても、それを罪とは気づきません。
このような生活を続けていくと、人間は確実に霊的貧困に陥り、神から離れる方向に進んでいきます。
そして、ついにソドムは神の裁きを受け、滅亡してしまうのです。
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神との関係を確かにし、この世のものを手放せる霊的センスを磨く今日として参りましょう。
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