今日のみ言葉【No.2152】(2019年11月25日)「キリスト教イロハ(32)『神の愛』」
しかし、まだ罪人であった時、わたしたちのためにキリストが死んで下さったことによって、神はわたしたちに対する愛を示されたのである。
(ローマ5:8)
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11月22日は「いい夫婦の日」だそうで、この日を記念にして結婚を発表する芸能人がいらっしゃいます。
おめでとうございます。いつまでもその愛が続くように切に祈ります。
というのは、人間の愛は条件付きの愛なので、条件が崩れると愛せなくなるからです。
たとえば、「やさしい人だから」とか「支えてくれるから」が決め手で結婚したとすると、相手がやさしくなくなったり、支えてくれるどころかこちらの足引っ張りをする存在になると、かつての愛は冷えて無くなってしまいます。
それでは神の愛とはどのような愛なのでしょうか。
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聖書に出てくる愛を表す言葉には、ギリシャ語でいうアガペーの愛とフィリアの愛があります。
イエス様は復活後、三度主を否んだペテロの心の傷を癒やすために、三度愛するかと彼に尋ねられました。
「彼らが食事をすませると、イエスはシモン・ペテロに言われた、『ヨハネの子シモンよ、あなたはこの人たちが愛する以上に、わたしを愛するか』。ペテロは言った、『主よ、そうです。わたしがあなたを愛することは、あなたがご存じです』」
(ヨハネ21:15)
ここでイエス様が使われた愛という言葉はアガペーの方で、ペテロはそれに対してアガペーの愛ではなくフィリアの愛で愛すると答えています。
イエス様はアガペーの愛で愛するかと彼に尋ねますが、ペテロはその三度全てに対してフィリアの愛で愛しますと答えています。
ここにペテロの屈折した思いが感じ取られます。
これは私の想像ですが、失敗し、自分の力の限界があらわにされ、おのが愛の実体はこの程度のものかと身にしみるほど知らされた彼にとって、
「イエス様、あなたの要求するアガペーの愛で応答するなどとてもとてもできる私ではありません。せいぜいフィリアの愛が精一杯です。勘弁して下さい」
と言外に言っているのではないでしょうか。
フィリアとは友情であり、一緒に同じ環境で過ごすことで芽生える愛なので、離れれば薄くなり、遂にはなくなる愛です。
ギリシャ語にはその他にストロゲーという血縁関係があることによって結ばれる愛と、エロースという男女間の愛を表す言葉があります。
ストロゲーは血縁以外の人は愛せないという限界があり、エロースでは相手に価値があれば愛せるのですが、価値がなくなれば愛せなくなるというこれも限界があります。
つまり、フィリア、ストロゲー、エロースは皆条件がかなっている間は成り立つ愛ですが、そうでなければ愛することができなくなる条件付きの愛なのです。
これが人間が持つ愛です。
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一方、神の愛は無条件の愛です。
イエス様はご自分を否定したペテロを愛されました。
ペテロがどうあろうと、価値があろうがなかろうがイエス様の愛は変わりませんでした。
これがアガペーの愛であり、無条件で愛する愛なのです。
パウロはこの愛を説明するのに
「しかし、まだ罪人であった時、わたしたちのためにキリストが死んで下さったことによって、神はわたしたちに対する愛を示されたのである」
(ローマ5:8)
と書きました。
クリスチャンを迫害する者であった時も、神は自分を愛していてくださったのだという無条件の愛に気づいた彼の涙がしたたっているような言葉です。
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さて、イエス様はペテロの心をどうしても変えてやろうとして三度「アガペーの愛、神の愛で私を愛するか」と迫ったのではありません。
三度目の問いで、イエス様はペテロが使ったフィリアの愛で愛するかと変更されました。
無条件の愛とはこういうものです。
「人間の愛ではなく、神の愛で愛せるようになれ。そうしたら私はあなたの失敗をゆるし、私の羊を任せ、あなたを愛するように態度を変えよう」
ではないのです。
自分の立場を変えることのできない無力なペテロ。
弟子としての条件を満たさないペテロ。
しかしイエス様はそのペテロに対して、
「あなたのありのままのその位置の愛(フィリア)でいいから、この私を愛してくれるか?」
と彼の居場所まで降りてきて下さり、そしてさらに彼の下にまで降り、その愛で愛してくれるかと尋ねられたのです。
ペテロはそれを聞いて、たまらなくなったことでしょう。
彼は「心をいためて」と書かれてあります。
現代的に言うなら、
「またやっちまった!イエス様にまた犠牲を負わせてしまった!」
ということなのかもしれません。
しかし、無条件の神の愛の持ち主であるイエス様は、そのように自ら進んで動く御方なのです。
私たちがすべきことは、「わたしの羊を養いなさい」と言われるイエス様の言う通りにすることです。
つまり、その愛に無条件で降伏し、愛を受け入れて生きていくことなのです。
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神の無条件の愛を思い巡らす一日として参りましょう。
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