今日のみ言葉【No.1437】(2016年12月15日) 053 「総督ピラト」(1)

夜が明けると、祭司長たち、民の長老たち一同は、イエスを殺そうとして協議をこらした上、イエスを縛って引き出し、総督ピラトに渡した。
(マタイ27:1-2)

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キリスト教には「使徒信条(しとしんじょう)」というものがあります。

「キリスト教徒である私たちは何を信じているか」を表す基本的な信仰告白です。

その中に、

「主は聖霊によりてやどり、処女(おとめ)マリヤより生れ、ポンテオ・ピラトのもとに苦しみを受け、十字架につけられ」

という一文があり、ピラトという名前が出てきます。

このローマ総督ピラトとはどのような人物だったのでしょうか?

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新約聖書の時代、ユダヤはローマ帝国の属国となっていました。

ローマから遣わされ、その地方を治める職務を負ったのが総督でした。

たとえて言えば、ローマ帝国株式会社の本社勤務の中間管理職が、地方支社の所長に任命され、転勤を繰り返しているようなものです。

表面的には栄転ですが、心は栄光の都ローマ、つまり、本社勤務に早く戻りたいというのが本音だったでしょう。

そのためには、勤務地での成績が重要です。

その土地で暴動が起こり、問題解決のために本国ローマの軍隊を動員してもらうなどの事態になったら、自分は能力不足として評価が下がります。

ですから、何の良いことをしなくても、波風が立たないようにその土地で過ごし、何事もなくその地を離れられることがベストだったのです。

ピラトは有能な官吏でしたが、ことなかれ主義の面を強く持っていた人でした。

 
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しかし、人生で波風は起こります。

何の悪いことをした覚えはなくとも、波は打ちかかり、風は吹きつけるのです。

それは

「イエスを殺そうとして協議をこらした」

ユダヤの祭司長・民の長老たちでした。

彼らはイエス・キリストを

「縛って引き出し」

そして夜明けと同時に

「総督ピラトに渡した。」
(マタイ27:1-2)

とあります。

ローマ帝国領となっていたユダヤは、死刑執行権を剥奪されていました。

ですから、イエス様に死刑を執行するためには、どうしてもピラトのもとに来て、お願いをしなければならなかったのです。

過越の祭りの間、エルサレムは賑わい、万が一の治安維持のために普段住んでいるカイザリヤの町から出てきたピラトでしたが、案の定、問題は起こりました。

ピラトはこの後わずか数時間のイエス様との関わりでしたが、それが彼の評価を決め、永遠の運命を決めてしまったのです。

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イエス・キリストとの出会いの時間は短いものであるかもしれません。

しかし、それが私たちの永遠の過ごし方を変えるのだということを覚えておきたいものです。

今日どんな形でイエス様と出会うかは分かりませんが、愛の方であるということを心に留め、意外な出来事が起きても、平安を持って対処する一日として参りましょう。

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