今日のみ言葉【No.1548】(2017年 6月20日) 087 「イエスの母とヨハネ」(2)
イエスは、その母と愛弟子とがそばに立っているのをごらんになって、母にいわれた、「婦人よ、ごらんなさい。これはあなたの子です」。それからこの弟子に言われた、「ごらんなさい。これはあなたの母です」。
(ヨハネ19:26〜27)
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亡くなる2日前の方にお見舞いに行ったことがあります。
病院のベッドで酸素吸入のマスクをしているその傍らで、私はお話をし、最後に「お祈りをします」と言った時です。
その方が、「ちょっと待って…」と言って、起き上がろうとなさったのです。
私はビックリして、「寝てて!寝てていいから!」と止めようとしたのですが、
「いえ、起きます」
と言って、寝ている自分の身体を起こし、お祈りの時を一緒に持ちました。
その方はご自分の命が長くないことを感じておられたのでしょう。
そして、本当に大事なことだから「これはきちっとやらねばならない」と苦しみの中でも祈ろうと決心なさったのです。
イエス様にとって母マリヤの今後のことがとても大切なことでした。
そこで、十字架上の苦しみの中、母マリヤのことを弟子ヨハネに託されたのです。
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十字架刑が残酷なのは、死に至るまでの苦痛の時間が長くかかるところにあります。
手足に釘が打ち込まれ、全体重が3点にかかります。すると筋が伸び、腱が切れ、関節がはずれ…。
その激しい痛み苦しみの中で、イエス様は母マリヤの今後のことについて配慮をしています。
「『婦人よ、ごらんなさい。これはあなたの子です』。それからこの弟子に言われた、『ごらんなさい。これはあなたの母です』」
(ヨハネ19:26〜27)
文字だけ読むと、あまりにもあっさり書かれてあるように感じます。
あたかも弟子ヨハネに「うちの母さんの老後の生活を頼む」と介護を依頼しているかのようです。
しかし、死を前にした激痛の中で言われた言葉ですから相当の重みがあります。
単なる親孝行や老後の保証について語っているのではないはずです。
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イエス様には父ヨセフと母マリヤとの間に生まれた兄弟姉妹がいました。
ですから本来ならマリヤの面倒を見るのはマリヤと血のつながった息子・娘たちがすることです。
しかしここでイエス様が言ったことは、母マリヤを他の家族にではなく弟子のヨハネに託することでした。
これは新しい家族関係のことを言っています。
血縁で結ばれた関係を超えて、イエス・キリストの十字架を真ん中にマリヤと弟子ヨハネが新しい家族として結び合わされる「神の家族」が造られたのです。
「天にいますわたしの父のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、また姉妹、また母なのである」
(マタイ12:50)
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私はこの神の家族という新しい関係を、教会という場所以上にニコニコ寮という教会の寮で体験しました。
そこは、神に献身するほど意欲のある人、親に無理矢理連れられてきた「問題児」と言われる人、行き倒れ寸前で保護された人等、一見何のつながりもない集団です。
一緒にいる理由が見当たりません。
しかし、教会が「エクレシア」(呼び集められた者たち)というギリシャ語で表されているように、寮にいる人たちも神に呼び集められ、神の家族として生活するように召されている人たちです。
さてどうしようか?
そこで試行錯誤して学んだことは、神の家族となるためには、積極的に愛とゆるしと喜びを作り出していかなければならない、ということでした。
一緒にいて生活しているだけではバラバラなままです。
そこで、週に一度のニコニコ寮ミーティングを開催しました。
ゴミ出し当番や掃除当番などを確認し、様々なことを決めるミーティングです。
通常このような場は「あれもできていない」「ちゃんとしないとダメだ」と叱責と裁判と反抗の場になりがちです。
しかし神の家族は愛とゆるしと喜びです。
とびきりの料理とスイーツを出して楽しい場とし、決められたことが出来なかった人にはゆるしと翌週への期待を示し、その人をカバーするための方法を考え合う時としました。
えっ?極小予算の寮で豪華な食事ですか?
そのために1週間、あれやこれやと工夫をし、あちこちに頭を下げてお菓子をいただいてきて…、という陰の努力が必要です。
犠牲を払わなければ愛は全うできないことを学びました。
この神の家族体験がその後の私の伝道牧会にどれだけ命を与えたか計り知れません。
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愛とゆるしと喜びを消費する側から提供する側へと変わるためには、意識的に犠牲を払わなければなりません。
キリストの十字架の犠牲がその初めであったことを思い起こし、その犠牲の愛にじっくり浸ること。
そこから神の命の泉が湧いてきます。
義務感からでなく、喜んで神の家族とさせていただく今日の一日として参りましょう。
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