今日のみ言葉【No.1402】(2016年11月 2日) 040 「金持ちの青年」(3)

青年は悲しみながら立ち去った。
(マタイ19:22)

——————

米沢興譲教会には、教会員向けの奨学金団体「アガペー財団(http://アガペー財団.jp)」があります。

多くの方々の寄付によって支えられ、運営されています。

そのうちのお一人が、多額の寄付をされた動機をこう打ち明けて下さいました。

「この財産を、死に金でなく、生き金として使いたい」

スパン!と持っているものを手放し、お金に左右される人生ではなく、お金の方をアゴで使っている伸びやかさを感じました。

聖書に出てくる金持の青年は、若いだけに、この人生の達人の境地にまでは達していませんでした。

-*-*-*-*-*-*-

お金を使って欲しいものを得ることは何の罪でもありません。

お金は自他共に潤うように賢く使いたいものです。

ただし、今の状況に感謝できずに、あれもこれも、もっともっと、と際限なく消費し続ける生活を送っているとすれば、それは間違いなく「貪欲」です。

貪欲な人は、今持っているものを手放せません。

それしか自分を支えるものがない、と信じ込んでいるからです。

この青年の場合、守っているはずの戒めを守れない自分であることが見えませんでした。

そこでイエス様はとうとう彼にこう言われました。

「もしあなたが完全になりたいと思うなら、帰ってあなたの持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に宝を持つようになろう。そして、わたしに従ってきなさい」
(マタイ19:21)

カウンセラーが答を出し、しかも命令までするというのは、最終段階です。

イエス様は人々に「たとえ話」で語り、聞いている人の「気づき」を促すのが常でしたから、ここまではっきりと指示することはそうありません。

全く自分のことが見えない青年に対しては、そうせざるを得なかったのでしょう。

ここが勝負の時です。

「この幼な子は、イスラエルの多くの人を倒れさせたり立ちあがらせたりするために、また反対を受けるしるしとして、定められています。」
(ルカ2:34)

人がイエス・キリストと出会う時、その心の思いがあらわにされ、倒れるか立ち上がるかの二手(ふたて)に分かれてしまうのです。

-*-*-*-*-*-*-

「青年は悲しみながら立ち去った。」
(マタイ19:22)

結局この青年は悲しみながら去っていきました。

財産を捨てられなかったのです。

彼にとって、自分のいのちを支えるものはお金であるという考え、更にその奥に潜む「貪欲」を捨てきれなかったのでした。

一方、この人とは対照的に、ザアカイは自分の富を手放すことが出来ました。

「ザアカイは立って主に言った、『主よ、わたしは誓って自分の財産の半分を貧民に施します。また、もしだれかから不正な取立てをしていましたら、それを四倍にして返します』。」
(ルカ19:8)

不正によって得た富だ、と、自分の罪を認めることができたのは、イエス・キリストの罪の赦しに触れたからです。

命の拠り所と思っていたお金に、実はその力は無いことを身にしみて知らされていた彼にとって、永遠の命の与え主であるキリストとの出会いは決定的でした。

-*-*-*-*-*-*-

さて、立ち去った後の青年はどうなったでしょう?

聖書には彼のその後の消息は一切記されていません。

悔い改めてクリスチャンになったのか、反対者に回ったのか、何の関係も無くなったのか、それはわかりません。

しかし、ただひとつ分かることがあります。

それは、イエス様が彼を愛しておられたことです。

この青年に対して厳しい言葉を言った時、マルコはこのような美しい描写をしています。

「イエスは彼に目をとめ、いつくしんで言われた」
(マルコ10:21)

一度は倒れても、どこかで起き上がることができます。

私たちに注がれるキリストの愛は変わらないからです。

-*-*-*-*-*-*-

私たちにとって、この青年の財産に象徴されるものは何でしょうか。

何が永遠のいのちを得る妨げになっているのでしょう。

永遠のいのちを得る道は26節にあります。

我力で得ようとするのでなく、神様の力をもってして初めて与えられるものです。

「人にはそれはできないが、神にはなんでもできない事はない」
(マタイ19:26)

-*-*-*-*-*-*-

神の力を信じ、キリストのいつくしみを信じて歩む一日として参りましょう。

-*-*-*-*-*-*-

※御言葉メールの申込、停止は全て自動でなされます。下記メールアドレスに件名も本文も無い空メールを送信して下さい。

 ●御言葉メールをお申し込みになりたい方は
   → reg@mikotoba.org

 ●御言葉メールを停止したい方は
   → del@mikotoba.org